雑穀物語NEXT〚第26話〛 雑穀タンパク質で細胞育成

この物語は、雑穀の魅力について正しく、わかりやすく広めるために生まれた、雑穀の真実に挑戦する信実のヒューマンドラマです。雑穀の有資格者を中心に、皆様から寄せられた雑穀にまつわる疑問についての答えを探していきます。

グレオ
「今日は働き過ぎてのどが渇いたー。おいしいね~、うちのお店の水。ミレイちゃん、人間の身体って、水がないと数日しか生きられないってこと知ってる?」

ミレイ
「うん、知っているわ。ヒトのカラダの構成成分をみると、水分が約60%で半分以上を占めているの。だから、水は生きるために重要で、絶対に欠かせないわ。次に多いのがタンパク質で約20%にもなるのよ。」

グレオ
「へ~そうなんだ、タンパク質って多いんだ。重要な栄養素なんだね。」

ミレイ
「そうなの。また、身体のタンパク質は、10万種類くらいもあるのよ。」

グレオ
「10万種類も、、」

ミレイ
「赤血球の成分で酸素を運ぶヘモグロビンや、お肌に関係の深いコラーゲンもタンパク質でできているの。もちろん免疫に関係する抗体もね。」

グレオ
「抗体もタンパク質なんだ。」

ミレイ
「そうよね、抗体って、身体に入ってきた悪い細菌やウイルスなどの異物を認識して、くっついて、攻撃して、他の免疫細胞とも連携しながら排除してくれるのよ。タンパク質など、必要な栄養素が極端に不足する状態の場合、リンパ組織が萎縮してしまって、T細胞やNK細胞の産生が低下することも報告されているわ。」


グレオ
「なるほど、ということは、タンパク質をきちんと摂らないと、その抗体や免疫細胞がしっかり働かないってこと?」

ミレイ
「そういうこと。タンパク質は、様々な細胞の主要な成分だから、栄養価の高い、良質のタンパク質を食事で摂ることは、免疫力をあげる上で基本中の基本なのよ。いくら身体に良いといわれる栄養素を摂っても、免疫細胞が元気でいてくれないとね!」


グレオ
「ふ~ん、そーかぁ。ところで、タンパク質はどのくらい摂ったらいいの?」

ミレイ
「年齢、性別、また活動状況によってそれぞれ違うけど、おおよそ一日あたりの量としては、50~65gくらい摂れればOKよ。タンパク質って、お肉やお魚、卵など、いろいろな食材に豊富に含まれているわ。もちろん、雑穀にも含まれているのよ。」


  食材別タンパク質含有量比較
(g/100g) 日本食品標準成分表2020年版 (八訂) より引用

グレオ
「ほー、そーかぁ。」

ミレイ
「でも、タンパク質っていっても、その中身も重要なのよ。タンパク質は20種類のアミノ酸でできていて、そのうち、体内でつくることができない9種類のアミノ酸のことを “必須アミノ酸”といって、毎日の食事から摂る必要があるの。摂取したタンパク質の吸収効率を高めるためには、そのアミノ酸のバランスも重要なのよ。」

グレオ
「そーなんだ、バランスなのか。雑穀は、そのアミノ酸バランスってどうなの?」


  食材別アミノ酸リジン含有量比較 (mg/100g) 日本食品標準成分表2020年版 (八訂) から引用

ミレイ
「多くの雑穀には必須アミノ酸のうち、特にリジンに限っては少ないので、他の食品を上手に組み合わせることが大切ね。リジンは、大豆、鰹節、凍り豆腐、サバ、イワシ、サンマなど、和食によく使われる食材に多く含まれているのよ。」

グレオ
「雑穀との組み合わせで、バランスがよくなりそうだね。」


ミレイ

「そうよ。雑穀ごはんにお味噌汁、それに納豆やお漬物、焼き魚などの組み合わせは、タンパク質を効率よく摂れることからも、健康的な食事スタイルといえるのよ。」

グレオ
「よし、明日の朝ごはんは、焼魚定食に、納豆プラス、雑穀ごはんチョイスで決まりだね。なんか、身体の中から元気になりそうな予感。」

《解説》
 和食は、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。世界から認められた理由はいろいろとありますが、中でも、一汁三菜を基本とする理想的な「優れた栄養バランス」が高い評価を得ています。雑穀ごはんと共に、健康につながるバランスの良いメニュー構成をもっと紹介していきたいですね。

参考書籍
横越英彦 編著 (2006)「免疫と栄養 -食と薬の融合-」幸書房
鈴木隆二 (2015)「カラー図解 免疫学の基本がわかる事典」西東社

参考サイト
厚生労働省『日本人の食事摂取基準 (2020 年版) 』
文部科学省『食品成分データベース』

登場人物紹介
  グレオ
神奈川県出身、文学部の大学2年生。趣味は映画観賞と食べること。スマホが離せない少し優柔不断な次男坊。ミレイはカフェのバイト仲間。

  ミレイ
料理と読書、そして雑穀が大好きな、東北の中山間地出身の女子大家政学部の3年生。雑穀エキスパート認定者。責任感が強く、負けず嫌い。

 

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