雑穀物語NEXT〚第27話〛 麦秋の季節がやってきた

この物語は、雑穀の魅力について正しく、わかりやすく広めるために生まれた、雑穀の真実に挑戦する信実のヒューマンドラマです。雑穀の有資格者を中心に、皆様から寄せられた雑穀にまつわる疑問についての答えを探していきます。


ミレイ
「グレオくん、何読んでるの?」

グレオ
「これね、ライ麦畑でつかまえてって本。僕が生まれるずっと前に書かれた、全世界のベストセラー本なんだけど、ざ・青春って感じで、読みたくなったのさ。」

ミレイ
「 麦畑でつかまえてー って表現、なんかロマンチックでいいわね。」

グレオ
「そうなんだけど、実は、原題は『The Catcher in the Rye』で、直訳すると “ライ麦畑で捕まえる人” になるんだ。最初に翻訳された方が『ライ麦畑でつかまえて』って題名つけたみたいだよ。」

ミレイ
「う~ん、”つかまえて” と “捕まえる人” 、なんか微妙な差だね。」

グレオ
「それで、後に村上春樹さんが翻訳したときには、題名にこだわりがあって、そのまま『キャッチャー・イン・ザ・ライ』ってしたんだって。」

ミレイ
「そーなんだ。さすが文学部の学生さんね。」

グレオ
「まあ、将来は小説家になりたいから、題名にもこだわるよね。ところで、麦のことなんだけど、麦秋って知ってる?」


ミレイ
「うん、今の季節のことで夏の季語ね。麦って、多くは秋に種を蒔いて、越冬して、春にぐんぐん育って、初夏に収穫時期を迎えるの。収穫の季節のイメージって普通は秋でしょ、だから、麦の収穫の季節は “麦秋” なのね。収穫間近の黄金色に輝く麦畑を見ると、初夏だけど、幸せな実りの秋を迎えたって思うわ。」

グレオ
「そーなんだね、中学校の国語で季語選ぶのに、引っかけ問題だった気がする。」

ミレイ
「でも、麦秋で見に行きたい麦っていうと、私はやっぱり大麦よね。今年は行けるかなぁ、岡山のもち麦畑。雑穀クリエイターの先生方と一緒に行けて楽しかったなー。」



グレオ

「ホント、麦の穂と一緒にうれしそうだね!」

ミレイ
「行きたくなってきたー! 今度、大麦畑でつかまえてって、映画かドラマできないかな。」

グレオ
「実はあるんだよ。 “大麦畑でつかまえて” ってドラマ。北海道の放送局かな。大泉洋さん主演だったよ。」

ミレイ
「すごーい!本当にあるんだ
。北海道の農園が似合う俳優さんといえば、やっぱり大泉洋さんよね。」

グレオ
「そうだね。よし、僕は今度、ミレイちゃんともち麦を題材にして、小説書こうかな。題名は、そう “もち麦畑でつかまえる” にしよう。なんか、イマイチ。う~ん、え~と、“もち麦どうでしょう” もいいし、でも、やっぱり題名は “ミレイ・イン・ザ・もちバーレイ!” にする。」

《解説》
5月から6月の初夏は、全国各地から実りの季節を迎えた、麦秋の便りがたくさん寄せられます。黄金色に輝く大麦畑も良いですが、もち麦 “ダイシモチ” が色づく、一面紫色の畑もすばらしい景観ですね。麦の実りを迎える初夏は、毎年楽しみな季節です。

紹介書籍
J.D.サリンジャー著・野崎孝訳 (1984)『ライ麦畑でつかまえて』白水Uブックス

J.D.サリンジャー著・村上春樹訳 (2006)『キャッチャー・イン・ザ・ライ』白水社

参考サイト
HTB制作スペシャルドラマ (2006)『大麦畑でつかまえて』

登場人物紹介
  グレオ
神奈川県出身、文学部の大学2年生。趣味は映画観賞と食べること。スマホが離せない少し優柔不断な次男坊。ミレイはカフェのバイト仲間。

  ミレイ
料理と読書、そして雑穀が大好きな、東北の中山間地出身の女子大家政学部の3年生。雑穀エキスパート認定者。責任感が強く、負けず嫌い。

 

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