包装から配送まで、品質への責任を考える

日本雑穀協会では、講座やイベントで活用するほか、商品分析や研究のため、さまざまな企業から雑穀や雑穀商品を購入する機会があります。
商品を受け取るなかで感じるのは、企業の雑穀に対する姿勢は、商品の中身だけでなく、梱包にも現れるということです。
届いた箱を開けたとき、商品がきれいに収められ、袋が折れたり傷ついたりしないよう配慮されている。
配送中に商品が動かないよう、箱の大きさや商品の並べ方が工夫されている。
そのような梱包を見ると、雑穀を大切な商品として扱い、良い状態で購入者に届けようとしていることが、自然と伝わってきます。
一方で、梱包が十分でなく、箱の中で商品が大きく動き、袋が折れ曲がったり、商品同士がぶつかって傷んだりしていることもあります。
中身そのものに問題がなかったとしても、このような状態で届くと、少し残念な気持ちになるものです。
包装や発送の現場を経験して感じること
私自身、かつて百貨店でのアルバイトで、商品梱包のほか、お中元やお歳暮などの包装・発送業務に携わった経験があります。
商品を傷めず、受け取った方に気持ちよく箱を開けていただくためには、箱の選び方、商品の収め方、緩衝材の使い方など、一つひとつに配慮が必要です。
配送中に商品がどのように動くのか。
箱を重ねたとき、どこに荷重がかかるのか。
振動や衝撃によって、袋や容器に無理な力が加わらないか。
梱包は、単に商品を箱に入れるだけの作業ではありません。
その経験から、届いた商品の梱包を見ると、作業の丁寧さだけでなく、その企業が商品をどのように扱っているのかにも目が向きます。
真空・脱気包装は、梱包の影響も受ける
雑穀商品には、品質を保つため、真空状態や袋内の空気を抜いた状態で包装されているものが多くあります。
しかし、出荷時には問題がなくても、購入者の手元に届いたときには、袋の中に空気が入っていることがあります。
そのような商品を受け取ると、購入者は、
「出荷時の確認で見落とされたのだろうか」
「このまま食べても大丈夫だろうか」
と不安を感じます。
商品の品質に直ちに問題があるとは限りません。しかし、購入者が確認できるのは、出荷時ではなく、届いたときの状態です。
以前、このような問題について、包装から箱詰め、梱包、配送までの流れを調査した際、袋の中に空気が入る原因は、包装工程だけではなく、梱包状態の影響を受ける場合があることが分かりました。
箱の中で商品が動いたり、折れ曲がった部分や袋の角に力が集中したりすることがあります。上に重い商品が置かれ、袋の一部に圧力がかかり続けることもあり、こうした負荷によって小さな傷が生じ、真空や脱気の状態が保てなくなる場合があります。
出荷時ではなく、到着時の品質を考える
製造現場では、包装後の商品を検品し、問題がないことを確認して出荷します。
しかし、大切なのは、「出荷時には問題がなかった」ことだけではありません。
「届いたときにも、良い状態が保たれているか」まで考える。
そこに、企業の品質への責任が現れます。
「出荷時には問題がなかった」ではなく、「届いたときにも、良い状態が保たれているか」まで考える。
そこに、企業の品質への責任が現れます。
商品への愛着は、豪華な箱や多くの緩衝材を使うことで示されるものではありません。
必要以上の包装は、資材費や作業負担を増やし、環境への負荷にもつながります。
大切なのは、その商品に合った方法で、傷みや崩れを防ぐことです。
少ない資材であっても、商品と受け取る人のことを考えた梱包からは、「良い状態で届けたい」という企業の思いが伝わります。
梱包には、企業の文化が現れる
梱包や発送には、受注担当者、倉庫担当者、発送担当者、外部の物流事業者など、さまざまな人が関わります。
それでも、いつ注文しても商品が丁寧な状態で届く企業があります。
そこには、
「商品を大切に扱う」
「購入者の立場で確認する」
「良い状態で届けるところまで責任を持つ」
という考え方が、関係する人たちの間で共有されているのだと思います。
商品への愛着が、開発者や営業担当者の言葉だけにとどまらず、日々の発送業務にまで浸透している。
梱包からは、その企業の仕事への姿勢や文化まで見えることがあります。
もちろん、梱包だけで企業のすべてを判断することはできません。
配送中の扱いや外部倉庫の管理体制など、企業だけでは管理しきれない要因もあります。
それでも、商品を良い状態で届けようとする姿勢には、企業の雑穀への愛着や、品質に対する考え方がにじみます。
雑穀への思いは、商品説明に書かれた言葉だけに現れるものではありません。
生産者から受け取った一粒を、購入者の手元まで、どのような状態で届けるのか。
箱を開けた瞬間にも、企業の雑穀に対する姿勢は現れるのだと思います。
関連情報:雑穀エキスパート講座/日本雑穀アワード/法人会員制度
執筆:中西 学(一般社団法人日本雑穀協会 事務局長)
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