商品を扱う人から、価値を届ける人へ

雑穀エキスパート講座で雑穀を学ぶ意味は、単に知識を増やすことだけではありません。
その先にあるのは、学びによって生まれる「意識の変化」です。
まず、雑穀の種類や栄養、調理、加工、表示、食文化や社会的意義などを体系的に学ぶ。
その知識を自分の中に落とし込み、仕事の中で使えるものとして修得する。
そして、自社の商品や原料を見る目が変わり、伝え方や提案の意識が変わっていく。
その意識の変化は、日々の仕事への取り組み方にも表れます。
商品を見る目が変わる。
説明する言葉が変わる。
お客様や取引先への提案の姿勢が変わる。
学び、修得し、意識が変わり、仕事への取り組み方が変わる。
この一連の変化こそが、雑穀に関わる人材育成の大きな意味だと考えています。
学ぶことで、自社商品への理解が深まる
日々の業務の中で自社の商品に関わっていると、その商品は当たり前の存在になりがちです。
どの雑穀を使っているのか。
なぜその配合になっているのか。
どのような食味や食感が特徴なのか。
どのような場面で使いやすいのか。
どのような価値をお客様に届けられるのか。
こうしたことは、普段から商品に関わっているからこそ、かえって見えにくくなることがあります。
雑穀を体系的に学ぶことで、自社の商品をもう一度、広い視点から見直すことができます。
原料の特徴、食文化の背景、栄養や調理性、加工や表示の注意点などを学ぶことで、自社商品が持っている意味や強みを、より深く理解できるようになります。
直近の第66回講座の受講者からは、
「知らないことだらけだった。雑穀は奥が深いと感じた。」
「思っていた以上に内容が充実していた。」
「とてもよくまとまっていて、編集の工夫がみられ良い教材である。」
といった感想も寄せられています。
多くは、仕事として雑穀に携わっている方々の言葉です。
こうした声からも、雑穀を学ぶことは、単に知識を確認することではなく、これまで見えていなかった広がりや奥深さに気づく機会であることがうかがえます。
これは、知識が増えたということにとどまりません。
自分が扱っている商品を、より大切に見られるようになる。
その商品を通じて、何を届けるのかを考えられるようになる。
そこに、学びの大きな意味があります。
説明する言葉が変わる
実際の現場では、お客様や取引先が求めていることはさまざまです。
相手によって、伝えるべき言葉は変わります。
雑穀を学び、知識として修得することで、専門的な情報をそのまま並べるのではなく、相手に合わせて伝わる言葉に変えていく意識が生まれます。
学びは、話す内容を増やすだけではありません。
伝え方そのものを変えていきます。
そして、その伝え方の変化は、仕事への取り組み方にもつながります。
自社の商品をより深く理解しようとする。
お客様にどう伝わるかを考える。
取引先にとって意味のある提案にしようとする。
原料や商品を、単なる取扱品ではなく、価値を届けるための存在として見直す。
こうした小さな変化の積み重ねが、現場の力になります。
一方で、雑穀に対する熱い思いがあっても、その思いを受け継ぐ人材が育たず、事業の継続が難しくなった例もあります。
良い雑穀原料を取り扱っていながら、自分たちの強みや商品の価値を十分に整理できず、外部の企画や助言に頼りすぎたことで、本来の方向性を見失ってしまうこともあります。
また、つくり手や売り手の思いが強いほど、商品づくりや発信が自己満足に近づき、お客様にとっての価値として伝わらないこともあります。
大切なのは、その雑穀が持つ価値を理解し、相手に合わせて言葉にし、商品や提案として届けられる人がいることです。
知識を学ぶことは、思いを形にするための土台です。
現場で判断する力を養うことは、良い原料や商品を継続的な価値に変えていく力になります。
「売る」「扱う」から、「価値を届ける」へ
雑穀に関わる仕事には、さまざまな立場があります。
それぞれの立場は違っていても、共通して大切なのは、雑穀の価値をどのように届けるかという視点です。
商品を扱うだけであれば、必要な情報を覚え、決められた説明をすることでも対応できるかもしれません。
しかし、雑穀の価値を届けるためには、その背景を理解し、相手に合わせて考え、現場で判断する力が必要になります。
雑穀を単なる原料や商品として見るのではなく、食卓や地域、健康、食文化、事業の広がりとつながる素材として捉えられるようになります。
学びによって知識を修得し、意識が変わる。
意識が変わることで、仕事への取り組み方が変わる。
仕事への取り組み方が変わることで、商品や提案の質が変わる。
この変化が、商品を扱う人から、価値を届ける人へと成長していく過程なのだと思います。
雑穀の学びは、知識を増やすためだけのものではありません。
学び、修得し、意識が変わり、仕事への取り組み方が変わる。
その先に、商品を扱う人から、価値を届ける人への変化があります。
一人ひとりの意識の変化を育てていくことが、雑穀に関わる企業の力となり、現場の力となり、これからの雑穀の未来をつくっていくのだと思います。
これまで、多くの企業や受講者と接する中で、この考えは、私自身の確信に変わっています。
関連情報:雑穀エキスパート講座/日本雑穀アワード/法人会員制度
執筆:中西 学(一般社団法人日本雑穀協会 事務局長)
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