雑穀の価値を“伝わる形”に変えるということ

ー商品・売場・地域・収益につなげるためにー

雑穀は、古くから日本各地で食べ継がれてきた穀物であり、食文化、地域農業、健康的な食生活など、さまざまな面から価値を持つ食材です。

近年では、雑穀に関する情報も以前に比べて得やすくなり、多くの情報に触れることができるようになりました。
一方で、情報が増えたからといって、雑穀の価値がそのまま商品企画や販売実績につながるとは限りません。

実際の現場では、

「雑穀をどのように商品に活かせばよいのか分からない」
「雑穀入りの商品を作っても、魅力が十分に伝わらない」
「雑穀販売で収益が思うように上がらない」

といった声を聞くことがあります。

つまり、雑穀に関する情報そのものは増えていても、その情報を雑穀に関係する事業収益につなげるための考え方は、まだ十分に整理されていない面があります。

雑穀は「良い素材」だけでは伝わりにくい

雑穀は、栄養面や食感、彩り、香ばしさ、地域性など、多くの魅力を持っています。
しかし、消費者や事業者にとって大切なのは、雑穀の価値を、相手にとって分かりやすい形に置き換えることです。

たとえば、消費者に対しては、
「毎日の主食を少し整える方法」として伝える。

食品事業者に対しては、
「栄養、食感、彩り、物語性など、差別化を加える素材」として伝える。

売場においては、
「米飯、惣菜、パン、スープ、サラダなど、日常の食卓に広がる提案型の素材」として見せる。

地域においては、
「特産品」だけでなく、農業、食文化、観光、教育、交流をつなぐ地域資源として位置づける。

このように、雑穀の価値は、伝え方や活かし方によって受け止められ方が大きく変わります。

必要なのは、情報ではなく「活用設計」

雑穀を扱う際には、

誰に届けるのか。
どのような場面で使われるのか。
どのような悩みや関心に応えるのか。
どのような商品価値として伝えるのか。
どのような売場や発信方法が合っているのか。

こうした点を整理することで、雑穀は単なる原料ではなく、商品や活動の軸になります。

雑穀単体ではなく、雑穀から広がる事業を見る

雑穀をきっかけに事業や活動を始めても、継続に課題を感じる事例は少なくありません。その背景には、雑穀そのものの価値が低いということではなく、雑穀単体で安定した収益構造をつくることの難しさがあります。

雑穀は、味わい、健康、食文化、地域性など、多面的な価値を持つ素材です。しかし、それらの価値を商品や販売の仕組みに結びつけなければ、事業として広がりにくい面があります。

成果を上げている企業では、雑穀を単独の商品として捉えるだけでなく、雑穀を入口として、周辺分野へ展開している例も見られます。
たとえば、雑穀生産者とのつながりや加工技術、独自の情報を活かして、健康食品、シリアル、菓子、惣菜、ペットフード、地域ブランド商品、業務用原料、OEM、体験型サービスなどへ広げていく取り組みです。

このように考えると、雑穀は単なる商品ではなく、新たな事業展開の入口にもなります。

大切なのは、雑穀を単体として見るのではなく、雑穀を起点に、どのような価値や市場へ広げられるかを考えることです。

協会が蓄積してきた実践知を発信する

日本雑穀協会では、これまで20年間にわたって実施してきた資格制度の運営や日本雑穀アワード表彰制度、会員企業や産地、研究者との連携などを通じて、雑穀の普及と市場形成に取り組んできました。
その中で見えてきたのは、雑穀の価値を事業として広げていくためには、雑穀そのものの魅力を伝えるだけでなく、関連する商品やサービス、売場提案、地域活動などへ展開し、継続的に市場を育てる仕組みづくりが重要であるということです。

雑穀の価値を、実践につなげるために

雑穀に関する情報は、これからも増えていくでしょう。
しかし、本当に求められているのは、情報の量ではなく、雑穀の価値をどのように見出し、どのように伝え、どのように活かしていくかという実践的な考え方です。

日本雑穀協会では、これまでの講座運営、商品審査、会員活動、産地や企業との関わりを通じて蓄積してきた知見をもとに、雑穀の価値を“伝わる形”に変えるための支援や情報発信を進めてまいります。

雑穀を、商品へ。
雑穀を、売場へ。
雑穀を、地域へ。
そして、継続的な活動や事業へ。

雑穀の価値を活かすための実践知を、今後もお伝えしていきます。

雑穀エキスパート講座/日本雑穀アワード/法人会員制度

《執筆者プロフィール》
中西 学(一般社団法人日本雑穀協会 事務局長)
2006年より日本雑穀協会の事務局長として、雑穀の普及・啓発、人材育成、商品評価、産地・企業との連携支援などに携わる。雑穀エキスパート講座をはじめとした人材育成制度の運営、日本雑穀アワード、法人会員活動などを通じて、雑穀に関わる人材・商品・地域活動の広がりに取り組む。
本ブログでは、長年の協会活動を通じて得た知見をもとに、雑穀の価値を「情報」として伝えるだけでなく、商品づくり、売場提案、地域活動、継続できる事業へとつなげるための実践的な視点を発信している。

 

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