スイーツから見えてくる新しい可能性

現在、日本雑穀協会では、「日本雑穀アワード デイリー食品部門〈2026・秋〉」の応募を受け付けています。
また、雑穀アドバイザーや雑穀クリエイターなど、有資格者の皆様にも、日頃の生活や仕事の中で見つけた、おいしく魅力的で「広く知ってほしい」と感じる雑穀商品をご推薦いただいています。
今回、デイリー食品部門で寄せられている推薦情報を見ていて、改めて感じていることがあります。
それは、スイーツ系の商品が思いのほか多いことです。
焼き菓子や和菓子をはじめ、老舗や有名専門店の新商品、地域限定商品など、さまざまです。
これまで協会事務局でも把握していなかった、思わず購入してみたくなる魅力的な商品も多く、雑穀の利用がスイーツの分野にも広がっていることを、改めて感じています。
スイーツに目を向けると、ごはんとはまた違った雑穀の表情が見えてきます。
香ばしさ。
粒感。
色。
穀物らしい風味。
これらは、スイーツの甘さを邪魔するものではなく、むしろ甘さに奥行きをつくる要素になり得ます。
甘さだけでは、おいしさは完成しない
スイーツのおいしさをつくるのは、甘さだけではありません。
チョコレートにはカカオの苦味や香りがあり、キャラメルには焦がすことで生まれるほろ苦さがあります。
ナッツの香ばしさや、少量の塩が甘さを引き立てることもあります。
つまり、おいしいスイーツには、甘さとは異なる味や香りとの対比があります。
ここに、雑穀という素材の面白さがあります。
雑穀を炒ったり、焼いたりすれば、それぞれの穀物ならではの香ばしさが際立ちます。
雑穀粉をクッキーやパウンドケーキなどに使えば、焼き上げたときの風味に深みを加えることもできます。
ハトムギとチョコレート。
炒ったあわやひえを焼き菓子のアクセントに。
雑穀は、単に「入れる素材」ではなく、甘さを引き立てる素材として考えることができます。
「粒」が食感をつくる
雑穀のもうひとつの魅力は、食感です。
雑穀を加えることで、
ぷちぷち、つぶつぶとした食感。
もちっとした食感。
焼き上げることで生まれる、サクッとした食感。
といったアクセントをつくることができます。
もちあわやもちきびは、その特徴を活かして、餅や団子などさまざまなスイーツへの応用も考えられます。
一方で、粒を残して使えば、プリンやアイスクリームなど、なめらかな食品の中に食感の変化をつくることもできます。
雑穀は、栄養を加えるためだけの素材ではなく、食感を設計する素材でもあります。
色も、おいしさの一部
黒米や赤米などは、その色合いも大きな特徴です。
黒米の紫黒色や、赤米の赤褐色を活かせば、スイーツの見た目にも個性を与えることができます。
例えば、
黒米とミルク。
黒米とホワイトチョコレート。
黒米と小豆やきな粉。
こうした組み合わせでは、色のコントラストだけでなく、味や香りとの調和も楽しめます。
ただし、大切なのは、「色を付けるために雑穀を使う」ことではありません。
色、味、香り、食感が、ひとつのおいしさとしてつながっていること。
そこに、雑穀を使う意味が生まれます。
和にも、洋にも広がる
雑穀は、餅や団子など、日本の甘味にも古くから利用されてきました。
あんこ、黒蜜、きな粉、ごま、抹茶などとの組み合わせは、自然に想像できます。
一方で、「黒米とチーズ」「もちきびとカスタード」「たかきびとチョコレート」といった組み合わせで、洋菓子への展開も考えられます。
雑穀を「和の素材」と決めつけなければ、スイーツの可能性はさらに広がります。
「雑穀入り」から「雑穀だからおいしい」へ
雑穀を使った商品では、「雑穀入り」「○種類の雑穀使用」といったことが特徴として伝えられることがあります。
もちろん、どんな雑穀が使われているかを伝えることは大切です。
ただ、その先にもうひとつ考えたいことがあります。
なぜ、その雑穀を使うのか。
その雑穀だからこそ生まれるおいしさは何なのか。
黒米だから、この色と風味が生まれる。
もちきびだから、この食感になる。
たかきびだから、この香ばしさやコクが加わる。
そうした役割が見えてくると、
「雑穀が入っているスイーツ」から、「雑穀だからおいしいスイーツ」へ、雑穀の価値もさらに広がっていくのではないでしょうか。
素材として見直すと、雑穀はもっと面白い
一見すると、甘いスイーツの中では、雑穀の個性は目立ちにくいようにも思えます。
しかし、実はその逆かもしれません。
甘さがあるから、香ばしさが際立つ。
なめらかさがあるから、粒感に気づく。
白いクリームがあるから、黒米の色が映える。
対比があるからこそ、雑穀の特徴が見えてくる。
そこが、雑穀×スイーツの面白さです。
雑穀を「健康のために加える素材」だけではなく、おいしいものをつくるために選ばれる素材へ。
甘さの中に、香ばしさを。
なめらかさの中に、粒のアクセントを。
そして、見た目にも雑穀ならではの個性を。
スイーツという視点から見つめ直すことで、雑穀という素材には、まだ多くの可能性が見えてきます。
これから、どんな「雑穀だからこそおいしいスイーツ」が生まれてくるのか。
楽しみにしていきたいと思います。
関連情報:雑穀エキスパート講座/日本雑穀アワード/法人会員制度
執筆:中西 学(一般社団法人日本雑穀協会 事務局長)
執筆者プロフィールはこちら





















