食生活に関する調査から考える、雑穀のおいしさと普及

健康のために、雑穀ごはんを食べてみようと思う。
そんなきっかけで雑穀を取り入れた人も、実際に食べてみると、もちもちした食感や香ばしさ、彩りなど、健康面への期待に加えて、食べる楽しさにも気づくことがあります。
そして、そのおいしさが気に入れば、次もまた食べたくなる。
雑穀を食べ始める理由と、食べ続ける理由は、必ずしも同じではないのかもしれません。
このことを考えるうえで、興味深い調査結果が公表されました。
雑穀ごはんを続ける理由に注目
2026年9月30日、株式会社はくばくは、雑穀ごはんに対する生活者の意識調査結果を発表しました。
全国の15~69歳の男女を対象に実施されたインターネット調査で、本調査には5,064人が参加しています。
この調査では、大麦や玄米を除く雑穀を使い始めたきっかけとして、「健康意識・疾病対策」が最も多く挙げられています。一方、大麦や玄米などを白米に混ぜて炊いたごはんも含む「雑穀ごはん」では、食べ続ける理由として「食感・おいしさ」が重視されていました。
これらの結果から、健康への関心とおいしさの両方が、雑穀の普及を考えるうえで重要な視点となることがうかがえます。
また、雑穀ごはんと料理との組み合わせについても調べられ、カレーやハンバーグ、揚げ物など、身近な料理との相性が紹介されています。
健康への関心だけでなく、日々の食事をおいしく楽しみたいという気持ちも、雑穀を選ぶうえで大切な要素になっていると考えられます。
健康への関心と、おいしさが持つ力
雑穀の魅力を紹介するとき、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養面に注目することは少なくありません。
もちろん、それぞれの雑穀が持つ栄養的な特徴は、大切な価値のひとつです。
しかし、毎日の食生活を考えると、栄養面の魅力を知っていることと、実際に食べ続けることの間には、少し距離があります。
どれほど体によさそうだと感じても、食べたときにおいしくなければ、次も食べたいとは思いにくいものです。
反対に、おいしいと感じられれば、特別に健康を意識しなくても、自然と食卓に登場する機会が増えるかもしれません。
健康への関心と、おいしさへの期待は、対立するものではありません。
健康への関心が雑穀との出会いをつくり、おいしさの発見が、その後の食習慣を支えることもあるでしょう。
今回の調査は、健康とおいしさの両面から雑穀の魅力を考えるきっかけになります。
おいしさは、雑穀だけで決まるものではない
もうひとつ注目したいのは、雑穀ごはんと料理との組み合わせです。
例えば、同じ雑穀ごはんでも、カレーと一緒に食べる場合と、焼き魚や煮物と一緒に食べる場合では、感じられるおいしさが変わることがあります。
雑穀の香ばしさが料理を引き立てることもあれば、粒の食感が料理全体に変化を生むこともあるでしょう。
一方で、やわらかなごはんを好む人もいれば、粒の存在感や噛みごたえを楽しむ人もいます。
つまり、雑穀のおいしさは、穀物そのものの特徴だけでなく、調理方法や組み合わせる料理、食べる人の好みによっても変わってくるのです。
雑穀には多様な種類があり、粒の大きさや食感、香り、色など、それぞれに異なる特徴があります。こうした多様性も、食卓の楽しみを広げる魅力のひとつです。
どの雑穀を、どのような料理に、どのくらい取り入れるのか。
その選び方によって、食卓の楽しみをさらに広げることができます。
カレーと雑穀ごはんの、おいしい組み合わせ
今回の調査結果を踏まえ、はくばく社では、カレーと雑穀ごはんの組み合わせを提案する特設サイト「穀うまカレー」を公開しています。
カレーに雑穀ごはんを合わせることで、いつものカレーに香ばしさや粒の食感、彩りなどを加え、違ったおいしさを楽しむという提案です。
特設サイトでは、雑穀ごはんの手軽な取り入れ方やレシピ動画のほか、AI味覚センサーを用いたカレーとの相性分析なども紹介されています。
紹介されている商品は、同社の「おいしさ味わう十六穀ごはん」です。
この商品は、2011年から2013年まで日本雑穀アワード一般食品部門で3年連続金賞を受賞し、殿堂入り認定第1号の商品となりました。
日本雑穀アワードでは、食品としてのおいしさや商品力などを審査員が評価しています。殿堂入り認定は、3年連続で金賞を受賞した商品に与えられるものです。
長年にわたっておいしさを追求してきた商品が、身近な料理との組み合わせを通じて、新たな食べ方を提案していることも大変興味深く感じます。
雑穀の魅力を知ってもらうには、専門的な知識を伝えるだけでなく、普段から親しまれている料理との組み合わせを提案することも、有効な方法のひとつではないでしょうか。
白米を否定するのではなく、主食の楽しみを増やす
日本の食生活において、白米は長く親しまれてきた大切な主食です。
炊きたての白いごはんには、それ自体のおいしさがあります。
雑穀の普及を考えるとき、白米と雑穀ごはんを対立するものとして捉える必要はありません。
今日は、お刺身に合わせて、白いごはんを楽しんでみる。
明日はもち麦を加えて、ぷちぷちした食感を楽しむ。
カレーの日には、彩り豊かな雑穀ごはんにしてみる。
このように、料理や気分に合わせて主食を選ぶことができれば、雑穀は特別な健康食品ではなく、日々の食生活を豊かにする身近な食材になっていきます。
大切なのは、白米を置き換えることそのものではなく、主食の選択肢を増やしていくことではないでしょうか。
雑穀の普及に必要なのは、食べたくなる理由を増やすこと
今回の調査から、雑穀の普及についても考えさせられます。
これまで雑穀の価値を伝える際には、栄養や健康への期待が大切な役割を果たしてきました。
これからも、その価値を正確に伝えていくことは重要です。
一方で、雑穀を日常的に楽しむ人を増やすためには、もう一歩進んだ取り組みが必要だと考えます。
雑穀ごはんに合う料理を紹介すること。
初めての人でもおいしく炊ける方法を伝えること。
外食やお弁当、惣菜などを通じて、気軽に雑穀のおいしさと出会える機会を増やすこと。
そして、さまざまな雑穀の特徴を活かした、おいしい商品を生み出していくことです。
そうした一つひとつの取り組みが、「食べてみよう」という関心を、「また食べたい」という気持ちへと変えていくのではないでしょうか。
さらに、雑穀を食べる機会が増えていけば、さまざまな雑穀を活用した商品開発や、国産雑穀の需要を広げる可能性にもつながります。
「体によさそう」から「おいしいから食べたい」へ
雑穀には、栄養だけでは語りきれない魅力があります。
小さな粒が生み出す独特の食感、香ばしさ、美しい彩り。そして、料理との組み合わせによって広がるおいしさ。
健康によいと聞いたから食べる。
食べてみたらおいしかったから、次も選ぶ。
そんな経験が積み重なることこそ、雑穀が日常の食文化として根づいていくための、大きな力になるのだと思います。
日本雑穀協会では、資格講座や日々の情報発信を通じて、雑穀の栄養や健康に関する知識を正確に伝えるとともに、さまざまな食べ方や商品、地域や生産者の取り組みなどを紹介し、雑穀を選ぶ楽しさも広げていきたいと考えています。
雑穀を食べる理由が増えること。そして、食べ続けたいと思えるおいしさに出会えること。
その両方を大切にしながら、雑穀の恵みへの感謝を忘れず、会員や有資格者、生産者、研究者、企業の皆さまとともに、雑穀の魅力と価値を広く伝えてまいります。
【参考・関連情報】
▶ 株式会社はくばく(2026年9月30日発表)雑穀ごはんに対する生活者インサイト調査
https://www.hakubaku.co.jp/news/594/
▶ はくばく「穀うまカレー」特設サイト
https://www.hakubaku.co.jp/brand/jurokkoku/curry/
▶ 日本雑穀アワード 殿堂入り認定商品「おいしさ味わう十六穀ごはん」
https://zakkokuaward.jp/products/fame1/
関連情報:雑穀エキスパート講座/日本雑穀アワード/法人会員制度
執筆:中西 学(一般社団法人日本雑穀協会 事務局長)
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