雑穀の品質を守る仕事の価値

10月です。各地で雑穀の収穫も本格化しています。
この時期になると、道の駅や農産物直売所にも、その年に収穫された雑穀が少しずつ並び始めます。豆類を含め、その地域ならではのさまざまな雑穀に出会える季節でもあります。
産地を訪れた際、私がまず立ち寄る場所のひとつが、道の駅や農産物直売所です。
その地域で、どのような雑穀が生産されているのかを見ることができるのはもちろん、どのような状態で販売されているのかを知ることができるからです。
袋に入った雑穀の粒の状態や色合い、包装の仕方、表示内容などを見ていると、その地域の雑穀生産の一端が見えてくることがあります。
品質を左右する、収穫後の管理
これまで各地でさまざまな雑穀を購入してきましたが、同じ種類の雑穀でも、味や香り、風味には違いがあります。
もちろん、地域や品種、栽培方法、収穫時期などによる違いもありますが、それだけではありません。
収穫した後に、どのように乾燥し、選別し、保管してきたのか。
そうした「収穫後の管理」によっても、味や風味が大きく変わることがあります。
産地で適切に乾燥・調製され、良い状態で保管・販売されている雑穀は、本当に魅力的です。
だからこそ、産地を見るときには、「どのように育てられたか」だけでなく、「収穫後にどのように扱われているか」にも目を向けてみたいと思っています。
雑穀は、畑で収穫したら、そのまま商品になるわけではありません。
その後に行われる「乾燥」「選別」「調製」「保管」といった作業も、品質を守るうえで大切な工程です。
収穫したあとにも、仕事が続く
雑穀は、収穫した時点では、まだ多くの水分を含んでいることがあります。
そのため、収穫後には適切に乾燥させ、茎やさや、土、小石などを取り除き、粒の状態を見ながら選別していきます。
こうした、食べられる商品として状態を整える作業を「調製」と呼びます。
種類によっては、脱穀したり、殻を取り除いたりする作業も必要です。
豆類では、粒の大きさや傷みの有無などを確認しながら、商品として適した状態に整えていきます。
見た目は小さな一粒でも、安心して食卓で楽しめるようになるまでには、いくつもの工程があるのです。
「乾かす」ことは、品質を守ること
収穫後の作業で、特に重要なのが乾燥です。
水分が多く残っていると、保存している間に品質が変化しやすくなります。
また、乾燥や保管の状態によっては、カビや虫の発生につながることもあります。
そのため、それぞれの作物に適した状態になるように乾燥させ、その後の保管にも十分に注意を払う必要があります。
「採れたて」であることは魅力のひとつですが、それだけで雑穀の品質が決まるわけではありません。
収穫後にどのような工程を経て、どのように管理され、どのような状態を保ってきたのか。
そこまで含めて、雑穀のおいしさや品質を左右し、食品としての安全性を保つうえでも重要になります。
直売所で選ぶとき、少し目を向けてみる
商品を手に取るときには、産地や品種だけでなく、包装や表示、粒の状態も確認してみたいところです。
例えば、
・袋がきちんと閉じられているか
・粒に目立った変色や傷みが見られないか
・異物が混ざっていないか
・名称や原産地など、必要な食品表示が確認できるか
といったことです。
粒の色や大きさには、品種や栽培条件による違いがあります。
粒が不ぞろいだから、見た目が均一ではないからといって、それだけで品質が悪いとはいえません。
大切なのは、見た目の美しさだけではなく、食べるものとしてきちんと整えられ、管理されているかを見ることです。
そして、見た目だけではわからない小さな粒であるからこそ、表示されている情報を確認することも大切です。
雑穀エキスパート講座でも、雑穀そのものについて学ぶだけでなく、食品表示などの制度についてお伝えしています。
「新しい」の、その先を見る
秋は、その年に育った農産物の恵みを身近に感じられる季節です。
「今年採れたものだから」「新しいからおいしそう」というところから、もう一歩先を見てみたいと思います。
雑穀のおいしさは、品種や栽培方法など、畑で育てるところだけで決まるものではありません。
収穫後に丁寧に状態を整え、品質を守る仕事があって、初めて一粒一粒が食卓へと届きます。
そして、そこで生まれるおいしさや信頼が、その地域で生産される雑穀の価値や魅力にもつながっていくのだと思います。
収穫が本格化するこの季節。
道の駅や農産物直売所を訪れたときには、その地域ならではの雑穀を楽しみながら、その一袋が「どのように食卓まで届いたのか」にも、少し思いを巡らせてみてほしいです。
きっと、いつもの雑穀ごはんの見え方も、少し変わってくると思います。
関連情報:雑穀エキスパート講座/日本雑穀アワード/法人会員制度
執筆:中西 学(一般社団法人日本雑穀協会 事務局長)
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